foto1
foto1
foto1
foto1
foto1
お問合わせ
labo@pan-records.com
Pan Records

戦前ブルース音源研究所

Pre War Blues Laboratories

Blind BlakeのSP盤 Crown と Paramount の比較検証

1932年 4月 ウィスコンシン州 ミルウォーキーは雪解けの春

グラフトンのレコーディング・スタジオに出向いたブレイク最後のセッションだったかも知れません。

L-1475_2 Champagne Charlie Is My Name.

 

fig-1   fig-2



Paramount 盤は ウィスコンシン州 ポートワシントンに本社を置く

 "New York Recording Laboratories" がリリースしているレーベルです。

Crown 盤は "Crown Record Co. New York " と記載があります。

同じタイトルですが、異なるレーベル(会社名)でリリースされた事になります。

 既にご存じの方はこの複製をどの様に行ったのかについての検証をご覧頂きたい。


この2枚を見比べたときに、曲が終わったあとのリリース溝がまったく同じラインである事に気付きました。
時代が30年代後半から40年代になると デュアルターンテーブルでの複製コピーが行われますがこの場合
録音時のマシンとは異なりますのでいろいろな部分で違いが現れます。


ラベルだけを変えて、同じスタンパーを使用していたとすれば溝や刻印などがまったく同じであるはずです。
しかし、この2枚のマトリックス番号の刻印の位置は異なります。
Crown盤には改めて自社レーベルの管理番号の刻印が追加されています。

Yの反対のマークに 続き 1766-2-A となってます。

 

 fig-3

これは 当然スタンパーが違ということを意味します。
加えてマトリックス番号の刻印位置が異なります

 fig-4

fig-4 : Paramount 盤のマトリックス 刻印 L-1475_2
" L " シリーズ Lから始まるマトリックス番号は、ウィスコンシン州グラフトン スタジオの録音です。

パラマウント盤は、ラベルに近い位置に刻印が押されています。
(この刻印は、盤のプレスの後に押されるものではなく、スタンパーに既に押されているものです。


続いて クラウン盤をご覧ください。

 fig-5
fig-5 : Crown 盤のマトリックス 刻印 L-1475_2

同じマトリックス番号の刻印が押されていますが、こちらは録音溝に近い位置に刻印が押されてます。

この事から、この2枚はスタンパーが違という事が証明されます。


しかし、録音溝が良く似ていますし、リリース溝がそっくりに見える。
これはCrownからするとParamountのメタルマザーを借りて、オリジナルのスタンパーを製作しレコードをプレスしたと想像できましょうか。




78rpm再生 音の誤差を検証する

まず、双方共 全く条件の同じ78回転のターンテーブル(針やテーブル機器)でPlayback(再生)をします。

音源をコンピューターに取り込み検証を行います。

 fig-6

fig-6 取り込んだ波形を確認し イントロの同じ波形部分でカットします。

続いて エンディング部分も同様にカットします。

 fig-7

この様に 一曲を同じ部分でカットする事で正確な再生時間の誤差を調べられます。

 

同時再生を行うと、異なる速度の場合エコーの様な音のずれが生じ、更に再生速度に誤差があれば

完全に音が二重に聴こえるようになります。

 fig-8

パラマウントとクラウンの双方は 終始同速で進行し 全く誤差が無いようです。

 

カットした部分のランタイムです。

Paramount :  02:28:92

Crown   : 02:28:94

約2分半の中で0.02秒の誤差は、音源の波形をカットする位置の誤差か プレス成型時の加圧変形差による誤差か判りませんが

ほぼ誤差が無いと判断してよいと思います。

 

【 研究所 オリジナル検証 TPでの判断 】

 fig-9

TP計測法方については こちらをご覧ください →Trace Pitchi 計測方法

双方のTPは、全くの誤差無し 裏面の楽曲も同じ結果でした。

完全な複製である事が判明しました。

 

【 結論 】

この検証により、クラウン盤はパラマウント盤と同じ複製である。

スタンパーは 改めて製作された事がわかりました。

クラウンは "Blind Blake" の他にも "King Solomon Hill" や "Mississippi Sheiks" などもリリースしてます。

クラウン盤 は、間違いなく " New York Recording Laboratories " パラマウント盤のメタルマザーを使用し

スタンパーを作り、リリースされたと判断出来ます。

 

クラウンのスタンパーが グラフトンのレコードファクトリーで製作されたものであるか、

それとも 金属母(メタルマザー)を貸し出し、クラウンによって製作されたものであるかは ハッキリしません。

もしも 貸し出したのであれば、返却されずどこかに離散し現存するかも知れない…なんて夢もあるけども。。。。 

ただし、中心のラベル部分の 凹みが異なる事や、マトリックス番号の刻印の 書体(フォント)が異なっている事から

金属母を貸し出したのではないかという想像が出来ます。

fig-10 Paramount 13137盤                                                                                                   fig-11 Crown 3357盤 

  fig-10     fig-11

シェラックの材質などの分析が出来れば、レコードのプレス工場の判断も出来るのかも知れません

今回の検証で分かった事は、Crown盤はParamount盤のメタルマザーを使用した完全なる複製であるという事です。

 

1940年代以降にリリースされてゆくレコードにはメタルマザーやスタンパーを使用せず、

市販された盤を再生させながらコピーを取る方法が行われた様です。

そのために、再生速度に若干の誤差が生じてしまうケースもありました。→ Hastings Street / Blind Blake - Charlie Spand

レコード盤を再生させながら 改めてマスターを作る場合は 当然イコライザー効果が加わります(意図的な作業の場合もある)

再生速度も音質も変化してしまう場合がある。

 

このように同じ10インチ レコード盤を選ぶ時には、 完全な複製であるのか 音質も含めて若干差が起っている盤であるのかの

見極めが難しい。 というよりもその様な情報がない為 購入し検証しなくては わからない。

クラウン盤が一体どの様なレコード盤なのか? パラマウント盤の同じタイトルとの比較検証によって明確になりました。

 

ただし、クラウン盤の他のアーティストや既に他社からリリースされていた盤の復刻が同じ様にメタルマザー起こしであるかどうかは

実際に 同じ作業で双方を比べてみないとかわかりません。

 

溝をじっと眺める様子は 一見バカなんじゃないか?と見えるかも知れませんがとても大事な事でした(笑)

TPの計測は 大事です。

 

TPの計測をしていると、グラフトンのレコーディングは途中から カッティングマシンを新調しレコーディングの手法が

変わった事が判ります。 彼らは 音(音楽)だけでなく レコード盤に多くの情報を残してくれてました。

 

最後に 市販のCDの音源との比較です

fig-6~fig-8で行った方法と同じ検証をしました。

CDは Crown盤を正しく78rpm再生したモノに比べ、速いです。

下のfig-12の通り、ランタイム誤差を修正する為に34.748c(音程)と 同期する為の1.578rpm 減速再生が必要でした。

さらに曲中で演奏速度が変化している様です(もしくは中間波形をカット) 

 fig-12

またもや 79.57rpmという中途半端なハヤマワシ再生である事の情報開示をします。

この謎解きは 前回の記事   ★CD再生速度を暴く ★   で紹介しました。

ターンテーブルのピッチコントロールの目盛りをプラス方向に 2目盛め 79.56rpm の再生ではないだろうか?

 

何故だ !  何故だろうか?

 

電気式モーターの科学的考察から 78.26 rpm での録音であったとか、コロンビアは80rpmだから80rpmだろうとか

 78rpm以外の録音する バカなエンジニアはいないとか・・・

当時の機械は精度が悪いから若干の誤差があるとか・・・

 

いやいやそんなリスナーの想いは全く無視 というか無駄な推測と言おうか。。。。

ただ単に ピッチコントロールの目盛りを目安に少し動かした音源を提供したと という話でした。

(その根拠 真意は不明ですが) 

そして 78rpm以下の録音速度であった可能性が濃厚です… そりゃ ハヤマワシ なわけですよね。

 

今回は Crown盤とParamount盤の検証でしたが、この様に当時のSP盤が無ければわからない事ばかりです。

 

ご参考になればと思います。     戦前ブルース音源研究所 

ホームへ戻る


Copyright © 2018 戦前ブルース音源研究所 Rights Reserved.